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たった26時間の台北 (7) 楽埔町

たった26時間の台北滞在、その間に食べられる食事は限られています。
初日はJAL「サクララウンジ」で朝の軽食、そして機内食、台湾に着いてからは[富錦樹台菜香樓」で新感覚の台湾料理、マッサージしながらの僕が街歩きで買ってきた「KFC」のエッグタルトと食べ続け、夕食は今回の食のハイライトとなるレストランで、です。
昼が台湾料理を新しめにした店、なので夜は台湾料理といえば台湾料理なのでしょうが、厳選された台湾産食材を使ってフレンチや和の技法で食べさせる「台湾・フレンチ・和」のハイブリッド・レストラン「楽埔町」(LEPUTING)にしてみました。
ここは客席数が多くないということもあるでしょうが、人気のレストランで、予約は取りずらかったです。
「マンダリンオリエンタル台北」のコンシェルジュのプッシュがなければ、当日の予約は無理だったでしょう。


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エントランスです。
コンクリートの壁に囲われた店内に入ると(用事のある人しか来れないexclusiveな外観)、その雰囲気は台北の喧噪とは一線を画す、静けさに包まれた何ともレトロで、そして凛とした日本風な建物が現れます。
聞くとこれは本物の日本建築で100年近く前のものとのこと、それをリストアしてレストランとして数年前にオープンしたと聞きました。
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何でも、この「樂埔町」があるエリアはかつては錦町と呼ばれていて、日本統治時代に建てられた公務員宿舎が数多く並んでいたそう。
この建物は1920~30年代に建てられ、戦後は「林務局」の官舎として使用されていたらしいですが、時代と共に廃墟に、しばらく前からは野ざらしとなっていたこの歴史的な建物を守ろうと立ち上がったのが「台北市文化局」と「立偕生活文化グループ」。
この両者がタッグを組み「老房子文化運動」の一環として、歴史を感じさせるレストランに変身させたというのが経緯のようです。


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シェフは台湾人と聞いていましたが、庭の窓から見えるキッチンには西洋人の姿が・・・。
レストランの玄関。
思わず僕の実家のいまはもう取り壊してしまった古い家を思い出してしまいます。
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玄関を入ると自転車、これが新感覚・今風なところなのでしょうか。
日本の自転車じゃなく、台湾のもののようです。
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ガラス障子、狭い廊下、ギシギシいう廊下・・・。
レセプショニストの英語はOKでしたが、ウェイターやウェイトレスの英語はかなり限定的。
「ミシュラン」の表示が出ていましたが、この店、台北の「ミシュラン」で★とってましたっけ?
ビブグルマン?
いやいや、そんな安い、コスパが良いような店じゃないし。
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廊下にもお洒落なディスプレイが。
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ここがメインのレストランの客席部分です。
四隅の監視カメラが目を引きます。
コース料理の進み具合を監視しているようです。
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日本建築ですから床の間があり、ここではこんな風に。
和+台湾テイスト?
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テーブルセッティング。
お箸でも食べられるのは嬉しいですね。
器はすべて作家もののようです。
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メニューはこれ一つ、メインを3種類から選べ、それによって値段が変わるだけです。
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いや~、懐かしい、お爺ちゃんちもこんな廊下とガラス障子でした。
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奥にはもう一部屋有り、そこでは団体さんが会食していました。
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店の一部に展示されている布は曽啓雄という人によるもので、ここの庭に植えられた植物で染められた植物染めだそうです。
とても優しい色合いに感じました。
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その他、入り口近くにショップも併設されていて、食事に使われている陶器などの食器類や食材も売られています。
「台湾ナンバーワンのものを揃えました、お米や蜂蜜などが特に人気です」とスタッフは教えてくれました。
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さぁ、料理が運ばれてきました。
サービススタッフはベテランそうな人と、英語もおぼつかない素人めいた人の混在。
監視カメラのせいでしょうか、料理はそれぞれのテーブルのペースに合わせて、割と滞りなく出てきます。
お茶とパン、フルーツの練り込まれたバター。
美味しいパンでした、ついつい最初から食べ過ぎちゃいます。
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「シェフの素晴らしい西洋スタイルの調理技法により、東方文化の神髄を食材の形、色、味で表現しています」とこのコースに付いて、テーブル上に置かれていたパンフにありました。
最初の料理は鮪のタルタルを雲呑の皮で包んだもの。
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鮪は竜眼(ライチに似た果物、ロンガン)の木でスモーク、ソースは食用鬼灯(鬼灯)だそうです。
ウェイトレスのground cherryを鬼灯と理解するまで少し時間がかかりました。
次の皿は「春桜酪青」という名前が付いているようで(季節的にOK??)、鰤、周りを彩っているのは火焔菜(テーブルビート)、桜の葉、海葡萄、アボカド、大根の漬物です。
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優しい繊細な味の皿が続きます。
今度は炭火焼きの烏賊に滑らかな豆腐の組み合わせ。
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よく見ると枝豆、カラスミ、桜エビ、サムファイア(samphire、厚岸草)も少しずつ、柚子の香りがするお茶が添えられています。
次は魚とアガリスク茸(カワリハラタケ)、烏龍茶・・・に
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濃厚なチキンスープをかけていただくものです。
緑については難しいことを言っていましたが、当帰(漢方で使われる当帰)と何とかだそうです。
繊細なお味が続きます。
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次は海老の入ったチーズラビオリ、ソースはたぶんクレソンが主体のもの、添えられているのは海藻のキリンサイ(麒麟菜)です。
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ここでメインの肉、3種類から選べてこれは鴨、台湾産のようです。
まず稲で燻してから炭火焼にしたものと。
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人参やケールの下にマッシュポテト、これは奥さんが食べたのですが「美味しい」とのこと、普段たいいてい「フツー」いか言わない彼女がそういったので、よほど好みに合ったのでしょう。
これは娘の食べた牛のミニステーキ。
これも竜眼の木での葉でスモークしてからの炭火焼きだそうです。
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茸は松本茸という茸だとウェイトレスは手でテーブルに字を書きながら教えてくれますが、松本茸って??
娘に「松茸?」と聞くと、無言で少し切って味見させてくれたのですが、これは(本)シメジですね。
この皿もまた娘が今回の旅行で一番美味しかった料理と言っていました。
僕が食べたのは台湾牛のフィレ(ということは娘のビーフはどこ産?)。
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肉は肉の旨みに満ちていて、繊維のちょうど良く、焼き方も丁寧で美味しく食べられました。
ソースはセロリや蕪だったと思います。
この辺でもうお腹はかなり一杯ですが、〆として土鍋ご飯がこんな形で出てきます。
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食事の進み具合を見て、テーブルごとに炊き上げているそうです。
土鍋も風呂敷も良い感じですね。
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台東の池上というところのチャンピオン米を、ほっくり甘い栗にも似たさつまいも、炭火で焼かれたブランド鶏(桂丁鶏)と共に、薄い醤油だしで炊いてあります。

「桂丁鶏」は、海抜が高く「雲の故郷」と呼ばれる武界部落で放し飼いされている地鶏です。
きれいな湧き水を飲み、大自然のなかで動き回り、プロバイオティクス飼料を補充しながら育てています。
地鶏のなかでも幻の鶏といわれ、一羽の親鳥から年間2羽しか生まれず、健康で肉質がしっかりしています。‭
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漬物は日本のものとほとんど同じ、味は文句なし、たぶんそうであろうという味です。
土鍋ご飯の量は多くとても食べ切れません。
食べ切れないご飯はドギーバッグに入れてお持ち帰りさせてくれます。
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最後はデザート2品。
これはパイナップル尽くしで、焼きパイナップル、パイナップルフレーク、パイナップルムース、チーズ・・・。
パイナップルの甘さより酸味を表に出した大人スイーツでした。
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手洗いに行くついでに庭も見学、台湾の人が表現した日本の庭?
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デザートの2皿めは潤餅(台湾の春巻きみたいなもの)をイメージしたという蜂蜜のきいた抹茶アイスクリームでした。
温かいお茶も出ます。
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コースのお値段はメインによって違い、NTD2780~3180+となかなかの金額。
台湾最高の食材をフレンチと和の技法、プレゼンテーションでまとめた10皿の料理は、空回りし過ぎることもなく、なかなか美味しく食べられましたが、これを台湾で食べなくても良かったかな。
もっと台湾台湾した夕食の方が・・・とも思いましたが、奥さんや娘は気に入ってくれたようです。
食事を終わりタクシーを呼んでくれたり、外に出てお見送りしてくれたり・・・。
最後にホテルのウェブから昼間のお姿を。
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たっぷり時間をかけて料理を堪能し、ホテルに戻った後、奥さんはゆっくりお風呂に入りたいと、娘は「パパ、次は夜市だよね、絶対。台湾に来たんだもの」とベタなことを言います。
娘の言うことには甘い僕は当然「おっ、良いね、行くか」と奥さんを置いて・・・。

Commented by momo at 2019-10-24 01:47 x
こちらのお店、父母が行ってます。
父の台湾人の教え子の招待で行ったそうです。
日本家屋だったからかもしれませんが居心地が良かったようです。
料理も美味しかったと言っていました。
私よりもグルマンな父の評価なのですが・・・。shackinbabyさんのご評価は正直如何でしょうか?
Commented by shackinbaby2 at 2019-10-24 08:15
>momoさん
正直な感想をリアルに書くと、クリエイティブな部分がやや上滑りしているかなぁ、これ心底旨いよなぁと思う料理がすべてではなかったです。
コンセプトにとらわれ過ぎているというか。
このタイプの料理はアジアの高級レストランではブームになり、評価されていますが、日本のレストランの方がこなれていて、クリエイティブかつ美味しいと感じさせる店が多いと思いました。
ただここ、肉料理はさすがに文句なしでしたよ。
家族は雰囲気も含め充分満足していたようです。
Commented by ファン at 2019-10-24 14:52 x
これが台湾の最新お洒落系レストランですか。
最近はテーブルクロスがない店が増えてますね。
Commented by nagi at 2019-10-24 16:21 x
コンテクストが面白いですね。
ground cherryのソースときいて「ほおずき」ってわたくしだと気が付かないかも?
でもちょっとハレの日のレストランですよね。
Commented by サリー at 2019-10-24 17:17 x
ご家族で台湾、いいですねぇ。私の実家は自営業で忙しくて家族で旅行に行った記憶なんてないので羨ましいです。
台湾は大好きですしまた行く機会を作るつもりなので参考にさせて頂いております♪
Commented by shackinbaby2 at 2019-10-24 18:46
>ファンさん
面白いところに着目ですね。。
テーブルクロスなどの古典的な高級レストランのルールが破られてきたのは「ノーマ」などの新勢力辺りからでしょうか。
特にこの店は和食の影響もうけているので、器にも凝り、和食のプレゼンテーションを模したりもしているので、よけい不要なんでしょう。
Commented by shackinbaby2 at 2019-10-24 18:46
>nagiさん
タイからお帰りなさい。
いつも有難うございます。
コンテクスト、建築の方で使う場合には専門用語になっちゃいますかね。
もしあまり聞きなれていない方がいらっしゃるとすれば、僕流の解釈ですが「建物や建物群がつくる全体的なまとまりや空気感」という意味です。
鬼灯は言われたからそう書いただけで、味はどんな味といわれると表現に困ります。
Commented by shackinbaby2 at 2019-10-24 18:46
>サリーさん
少しお久しぶりです、お元気でしたか?
我が家も家族そろってなんて最近は数年に一度です。
何度も何度も日にちを調整したのに、それでも結局息子は仕事で不参加に。
僕ら夫婦としてはこれからも家族旅行を続けていきたいのですが、将来はそれぞれの家族もとなると、大変なことになりそうで、このスタイルもあと1~2年でしょうか。
台湾は楽しめました、サリーさんもぜひ!
Commented by 気になって at 2019-10-30 20:14 x
気になって今年のミシュランをみてみても。このレストランの名前はありませんでした。
3星
頤宮
2星
RAW、Tairroir、鮨天本、祥雲龍吟、請客楼
1星
大三元酒樓、Da-Wan、教父牛排、金蓬莱、Impromptu by Paul Lee、谦安和、吉兆、L’Atelier de Joël Robuchon、logy、Longtail、明福台菜海産、山海樓、MUME、野村壽司、鮨隆、華西街台南担仔面、天香楼、雅閣
Commented by shackinbaby2 at 2019-10-30 20:26
>気になってさん
初めまして、ようこそ当ブログにおいでくださいました。
本当に有難うございます。
ミシュランの星について整理していただいて感謝です。
この店のミシュランのしるしは、もしかすると過去に星を取ったことがある、あるいは系列店などが取った・・・などでしょうか。
まさかうそを書くとは思えないので・・・。
またいろいろお教えください、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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by shackinbaby2 | 2019-10-24 00:00 | 海外 | Comments(10)

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